変形性股関節症は放置すると、歩行困難になったり、日常生活のさまざまな動作を妨げたり、QOLを低下させる大きな要因になります。そこで注目したいのが「人工股関節置換術」。傷んでいる骨を除去し、人工的な股関節に置き換える治療法で、股関節痛を改善するだけでなく、ほとんど支障なく日常生活を送れるようになります。「人工股関節置換術」とはいったいどんな手術方法なのでしょうか。また、どんなメリット・デメリットがあるのか、整形外科医が詳しく解説します。
目次
スムーズな関節の動きを取り戻す「人工股関節置換術」
変形性股関節症が進行すると、何もしていなくても痛みが出たり、「立つ」「歩く」「上る」など日常生活のさまざまなシーンで支障が起きたりします。変形性股関節症の治療として、今大きな注目を集めているのが「人工股関節置換術」。文字通り、傷ついた股関節を人工のものに置き換える治療法です。
骨の損傷部分を取り出し、人工関節を固定する
そもそも股関節とは、太ももの付け根にある大きな関節のことを言います。胴体と下肢のつなぎ目として、大きな役割を果たしています。骨や軟骨などさまざまな組織で構成されており、複雑な脚の動きを可能にしています。
しかし、加齢などが原因で股関節を形成している軟骨や骨が傷ついたりすり減ったりすることで、股関節痛や機能障害が起こります。これが「変形性股関節症」です。
そして、傷ついたすり減ったりした股関節を体から取り出し、人工のものに置き換える治療法が「人工股関節置換術」です。現在、人工股関節置換術は国内でも手術件数が増加しています。
4つの部位で股関節の動きを再現する
人工関節は主に4つの部位に分けられます。すなわち、大腿骨に挿入する「ステム」、骨盤のくぼみ(寛骨臼)にはめ込む「カップ」、カップの内側にあり軟骨の役割をする「ライナー」、骨盤側の受け皿にすっぽりはまる「骨頭」です。
手術では、まず骨の損傷部分を取り除き、それから人工股関節をはめ込みます。
手術時間は症例にもよりますが、一般的には90〜120分が目安です。全身麻酔下で行われ、場合によって硬膜外麻酔を追加して、術後の痛みを緩和することもあります。
手術後は、あきらめていたスポーツもできるように
人工股関節置換術は、現在、多くの患者が選択している治療法です。人工股関節や術式も時代とともに進化し、非常に安全性が高く、患者の満足度が高い治療といわれています。
本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。続きはコチラ>>
執筆者
世田谷人工関節・脊椎クリニック
医師 塗山 正宏
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