ゴルフで「飛距離を出せる人」と「出せない人」の決定的な差
※この記事は、幻冬舎ゴールドオンラインに寄稿したものです。
ゴルフの練習をしても、スコアがいまひとつ伸び悩んでいる、どうすればもっと上手くなるのか……実は、ゴルフの上達に欠かせないのは股関節の柔軟性です。ゴルフでボールの飛距離を伸ばすには、どのように股関節を使えばよいのでしょうか。医師の塗山 正宏が解剖学的な見地からわかりやすく解説します。
目次
「飛距離が伸びる」「伸びない」の鍵は股関節の柔軟性
歩く、走る、など、人間がおこなうあらゆる活動の基本となっているのが股関節です。逆にいえば、股関節を使わない動きはなく、それはゴルフにとっても同じです。
そもそも「股関節」はどこにあるの?
股関節とは、「どこにあるのか」「どんな機能をもっているのか」というところから説明しましょう。
股関節とは、大腿骨の骨頭と骨盤のつなぎ目のことをいいます。大腿骨の骨頭は球状になっていて、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるソケットにぴったりはまり込むようになっています。
そのため股関節の動きは他の関節に比べてバリエーションが多く、以下の通り、6つの動きをおこなうことができます。
1.屈曲…脚を曲げる
2.伸展…脚を伸ばす
3.外転…脚を外側へ開く
4.内転…脚を内側へ入れる
5.外旋…脚を外へ回転させる
6.内旋…脚を内へ回転させる
これらのうち、ゴルフで重要なのは5.外旋と6.内旋です。
たとえばまっすぐ立ったまま、つま先を外側へ向けてみましょう。このとき、太ももが外側へねじれますね。これが「外旋」の動きです。
反対に、まっすぐ立ったまま、つま先を内側へ向けてみましょう。このとき、太ももは内側へねじられます。これが「内旋の動き」です。
ゴルフで重要なのは「外旋」と「内旋」の可動域
なぜ、ゴルフでは「外旋」と「内旋」の可動域が重要かというと、可動域が大きければ大きいほど、上半身と下半身の捻転差が大きくなり、スウィングパワーを作ることができるからです。
通常ゴルフスウィングでは、バックスウィングをするとき右に重心を移動し、ダウンスウィングをするときには左に重心を移動します。しかし、重心を移動するだけでは、飛距離はある程度しか伸びません。もっと遠くへ飛ばすには、上半身と下半身のねじりの差を大きくすることで、下半身のパワーを腕へ伝えることができるのです。
1.バックスウィングをするときには、腰(骨盤)を右に回して股関節を内旋し、右足に重心を移動する
2.ダウンスウィングのときには、腰(骨盤)を左に回して股関節を外旋し、左足に重心を移動する
このように、股関節をねじる動きが加わることで重心移動がスムーズになり、飛距離が伸びやすくなるのです。
ゴルフのスイングで重要なのは「仙骨の位置」
プロゴルファーや、ゴルフが上手な人のスウィングと、ゴルフがいまいちな人のスウィングを見比べると、その差は一目瞭然です。
プロゴルファーやゴルフが上手な人のスウィングでは、お尻がほとんどぶれていません。特に注目してほしいのは「仙骨」という、背骨の一番下にある骨です。ここを起点に、ねじりの回転が生まれているのがわかるはずです。
一方、ゴルフが上手ではない人のスウィングでは、腰が大きく横揺れしています。重心移動をしようと頑張ってはいるものの、ただお尻が左右に揺れているだけで、まったく腰が回転できていませんし、体幹もブレています。
動画を撮影して、腰が横揺れしていないかチェックしてみよう
「自分はきちんと股関節の外旋、内旋ができているだろうか」と疑問に感じる人は、自分のフォームを動画で撮影してみましょう。「正面から」と「後ろから」の、2方向から動画を撮影してみると、お尻が横揺れしているかどうかがわかります。
もともと男性は女性に比べて股関節の動きがスムーズではなく、外旋や内旋の動きを苦手とする人が少なくありません。特に、骨格上の特性から内旋の動きが苦手な人が多く、いわゆる「お姉さん座り(正座を崩し、左右どちらかに腰をずらして横座りする姿勢)」ができない人が大半です。
そのため、股関節の可動域が狭い分、なんとかパワーで飛距離を伸ばそうとして、無理な姿勢でゴルフをします。しかしそうすると腰に大きな負担がかかり、腰痛の原因になるだけでなく、膝など他の関節にも悪影響を及ぼし、ひどい場合は歩けなくなることもあります。
股関節の可動域が狭いと、腰痛や肩こりなどの原因にも
股関節の可動域が狭いと腰が左右にぶれることになりますから、体幹を安定させることはできません。そもそも股関節は上半身と下半身の結び目であるため、そこの動きが悪ければ、必然的に姿勢が猫背になったり、反り腰になったりして、うまく骨盤の上に上体を乗せることができません。
それではゴルフが上達しないばかりか、日常生活でも腰痛の原因になったり、首こりや肩こりの原因になったり、さまざまな支障をきたします。
股関節の可動域は、加齢とともに狭くなります。特に、普段座る時間が長い人や、運動不足の人は、関節を動かす機会が少ないため、股関節はますます柔軟性を失って、可動域を狭めてしまいます。「最近、靴下を履くのが辛くなった」「靴を履くのが大変になった」「あぐらをかけなくなった」などの変化を感じる人は、股関節が硬くなっている証拠です。
本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。続きはコチラ>>
◆ストレッチをおこなう際の注意点
無理なストレッチはケガの原因になります。
痛みや違和感がある場合はすぐに中止しましょう。
執筆者
世田谷人工関節・脊椎クリニック医師
塗山 正宏
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