Good Joint Life!
~人工関節とリハビリテーションのブログ~
第83回 「鼠径部痛症候群」
おはようございます。リハビリテーション部の生井です。
前回は関節唇損傷についてお伝えしました。
今回のお題は「鼠径部痛症候群」です。
別名を「Groin Pain Syndrome(グロイン ペイン シンドローム)」と言います。
「鼠径部痛症候群」は前回のブログでもお伝えした「関節唇損傷」や「鼠径ヘルニア」、「内転筋炎」、「恥骨結合炎」、「大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)」など多くの原因疾患が含まれます。
筋肉・骨・関節の問題以外でも鼠径部痛が生じる場合があります(尿路感染、虫垂炎など)。鼠径部痛症候群とは多くの病態を含み、明確な定義がされていません。
主症状は股関節の前側(鼠径部)の痛みです。そのため椅子から立ち上がる時・階段を昇る時に痛みが強くなることが多いです。
スポーツ選手ではサッカー、ラグビー、ホッケー、野球、バスケットボール、長距離走のようなスポーツ選手で鼠径部痛が生じることが多いようで、サッカーではキック、シュート時に痛みが出る場合が多いです。
他の疾患でも言えますが、鼠径部痛症候群に関しては原因をしっかり調べることが大事です。
もし原因が筋・骨・関節由来であった場合は、リハビリテーションを含めた保存療法も必要かもしれませんので主治医と良く相談してください。
保存療法に関しては、安静および活動制限、薬物療法、物理療法、マッサージ、ストレッチ、鍼治療などのPassive Treatment(保存療法)より、股関節周囲筋、体幹筋の強化、立位動的安定性の改善を目的とした積極的な運動療法(Active Treatment)や上半身・体幹・下半身の協調的運動の獲得を目的にした全身的アプローチの方がスポーツ復帰率が高かったとの報告もあります。
しかしリハビリテーションを行うにしても効果は人それぞれなため、治療が長期にわたる場合もあります。
根気強く焦らずに治療を続けていきましょう!
引用・参考文献「福林徹・蒲田和芳監修.骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治療の科学的基礎.2013」