Good Joint Life
-人工関節とリハビリテーションのブログ-
第52回 痛みとリハビリテーション ③
皆さまこんにちは。世田谷人工関節・脊椎クリニックの生井です。
今回も痛みについてです。
前回は、慢性疼痛に対する治療と運動指導について書きました。
今回のテーマは「慢性疼痛と心理」についてです。
「疼痛と心理」と書くと???と思われる方も多いと思います。
少し解説していきます。
前回のブログで「慢性疼痛の定義」を紹介しました。
痛みの原因によっては治療が長期化する事もあります。慢性疼痛という状態です。
それ故自分が思ったような活動が出来なくなったり、仕事も思うように進まなかったりする事もあると思います。
痛みが続くというのは心理的にもとても辛い事ですよね。
しかし痛みを極度に恐れたり、ネガティブに捉え過ぎると、活動する量や時間が減り、身体活動が減るが故に筋力が低下し、活動量が低下するといった悪循環に陥ってきます。
痛みが長引くと、心理社会的要因との循環的相互作用により、(疼痛が)慢性化・重症化する(慢性疼痛治療ガイドラインより) こともあります。
これをFear-Avoidance Model(痛み恐怖回避モデル)と言います。
このような状態にならないように注意する点としては前回までにも載せましたが、痛みの原因を調べ正確な診断を受けること、疼痛に関しての病態を把握すること、診断と病態に基づいた治療をしっかりと続ける事です。
薬だけの治療だけでなく、リハビリテーションも必要かもしれません。
場合によっては心理的なサポートを受ける事も必要です。
身体の状況によっては手術が必要かもしれません。
まずはしっかりと診断を受けてその最善の治療を受けましょう。
最後に慢性疼痛治療における目的ですが、疼痛管理により身体の機能、活動する能力、精神面での健康を向上させる事です。
もちろん痛みがない状態になることが理想ですが、痛みを取ることに固執してしまうと治療が難しくなる事が多々あります。
まずは少しでも動けるようになる、活動量が広がる、出来なかった事が工夫すれば出来るようになるといった事を目標にして、慢性疼痛の治療を行う事が良いと思います。
今回も少し難しかったと思いますが、お付き合いいただきありがとうございました。