Good Joint Life!
-人工関節とリハビリテーションのブログ-
第26回 人工関節置換術リハビリテーションの流れ③
世田谷人工関節・脊椎クリニック リハビリテーション部 理学療法士の生井です。
前回は入院時のオリエンテーションと脱臼について書かせて頂きました。
今回は手術後のリハビリテーション(手術直後)についてです。
当院では手術が終わってから3時間経つと、医療スタッフ付き添いのもと起きる・立つ・歩くということが可能になります。
そのため、午前中に手術を終えた患者様は、その日の夕方にはリハビリテーションが可能になります。
ただし手術直後なので体調や気分がすぐれない方もいらっっしゃるので、そこは十分に考慮して進めていきます。
実際のところ手術直後にどんなリハビリテーションを実施するかというと、痛みの範囲内で股関節・膝関節を動かす練習、歩行器を使用して立つ・歩くという動作の練習を行っていきます。
なぜそんなに早くからリハビリテーションを開始するかというと、筋力の低下を防止すること、合併症を予防することの大きく2点が挙げられます。
歩かない時間が長いと筋力も徐々に落ちてしまいますので、可能な範囲で動くことによって筋力の低下を防止します。
また手術直後の合併症の一つとして深部静脈血栓症がありますが、その予防には手術後なるべく早くから足を動かす、立つ・歩くといったことが推奨されております(肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン 2017年改訂版)
以前ブログでも触れましたが、当院は上記の理由で車椅子はなるべく使わず最初から歩行器で移動していただいております。
トイレやリハビリテーション室への移動などで歩行を行うことにより、合併症の予防、筋力の回復はもちろん、歩くこと自体の練習にもなり、なるべく早く日常の生活へ復帰することにつながっているというわけです。